10.不器用
まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」(彩月) 連作(十二首)思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える「ねえ私結婚しようと思…
まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」(彩月) 連作(十二首)思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える「ねえ私結婚しようと思…
苦しみや孤独を抱えているときも「大丈夫」という言葉寄り添う(彩月) 連作(九首)世の中は大丈夫なようできているどんなに今が底の底でも人生をまるっとみれば大抵は大丈夫という言葉にできる大丈夫という上質の絹の魔法に我は包まる…
美しき人が流したたくさんの涙乾いて天(あめ)の大河と(彩月) 連作(八首)凛として唇にはそう微笑みを頰すべり落つ涙ありても懸命に生きている証ひとまえで流せる涙もしのぶ涙も出会いの日別れの日にはいつだって涙がそっと寄り添っ…
こんなにも小さな花に降りそそぐ光の粒が目覚め生きろと(彩月) 連作(十首)懸命に我に向かって伸ばし居る「大好き」の意味小さきてのひら小さな手パタパタとふり全身で喜び爆発させる乳飲み子あーうーと喜び怒り声色を変えて小さな口…
轍あらば何も見えずもそこはかと人の気配す土の粒にも(彩月) 連作(三首)先人がつくりしみちを歩むごと意識せずとも追う轍かな轍なきましろな道を進みたし土を固めて草踏みしめて轍追うごとく歩みし幾年月これより先は自ら拓け(彩月…
時があり時が歪みて生まるるが光の庭という物語(彩月) 連作(七首)我が母校優しさ希望慈しみ雨のごと降る光の庭よ青き春過ごした庭はうららかでわれらの傷に沁み入るひかりまっすぐに光受け止めきれぬ吾(あ)を庭は木陰でそっと撫で…
「寂しいと夕陽を見たくなるよね」というきみのその隣にいたし(彩月) 連作(六首)隣にて座っていると気づくもの日々のルーティン心の揺れもきみのその哀しみ苦しみどうすれば分かち合えるの隣にいるのにわれ描く青写真その隣にはきみ…
白き花何にも染まらぬ気高さと十色を包む柔和な笑みと(彩月) 連作(六首)われに問うどう生きたいか生きるのか心に凛と悠を持ちたし凜とした横顔その目その奥に汝はなにを映しているか凜ということばはどこか寂しげで水がしたたる山奥…
陽光を尾っぽに集めふわふわの布団を干すごと午後のまどろみ(彩月) 連作(四首)陽だまりに消えゆく庭のみぞれ雪名残り惜しそのハートのラクガキぽたぽたとしたたり落ちるあめゆきのひかりまばゆしああ今日は晴れどこへ行く?買い物?…
天上でひかりこおりが出逢い結い溶けゆく闇夜刹那の恋路(彩月)連作(五首)大雪に舞い上がり居る我が相棒芸術家ゆえかただの子どもか大雪が降って「くれた」か「しまった」か吾はどちらで生きていこうか真っ白の不思議なものを触りたし…