「寂しいと夕陽を見たくなるよね」というきみのその隣にいたし
(彩月)
連作(六首)
隣にて座っていると気づくもの日々のルーティン心の揺れも
きみのその哀しみ苦しみどうすれば分かち合えるの隣にいるのに
われ描く青写真その隣にはきみがこの先10年のちも
きみのすぐ隣にいるとは幻で思い上がりにすぎぬわたしの
わかってる分かち合えることなどないそれでも隣にいたきわがまま
あたたかなスープのにおいのする家路隣にきみがいない夕暮れ
(彩月)
明るい日向に 賑やかさが増すほどに
隣の空席があからさまになる。
かつては隣に君がいた。
ちょこんと座って。
足はぶらぶら。
僕には見えない遠い景色を
沈黙を携えて見つめてた。
僕の隣は空席だ。
誰かが来ても座れない。
指定席のタグがある。
「またね」が最後の言葉でも
「またね」が来ないことはある。
それは誰にも等しいことで
実現は奇跡に近いだろう。
僕は奇跡が起きないことに気付いている。
それでも隣は空席 指定席。
かつて隣に君がいた奇跡を
忘れることがないように。
君が気まぐれに奇跡を起こしてもいいように。
(よる子)