まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」
(彩月)
連作(十二首)
思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々
不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える
「ねえ私結婚しようと思うんだ」振り向かず聞く父の背中に
不器用な娘の結婚報告に前向いたまま「ああわかったよ」
不器用な親に似たのか我もまた嬉しい悲しい素直に出せず
不器用な我も仕事をするときはビシッと決めて背伸びしてみる
子どもらにちゃんと育ってほしくって「スカート!ボタン!上履き踏まない!」
「くそばばあ」言われる鬼担任の我まだ24歳なのになぁ
不器用に叱ってしまう本当は可愛い大切何より大事
初担任学級通信書くことが何より楽しみ不器用ながら
いま思う無理して叱ったこともある大事に思うこれ親心
初担任不器用に駆け抜けた日々子ども思春期我は青春
(彩月)
車いすから降りて
不器用に歩く私を笑う君。
座ればいいのに、というけれど
また君の横を
同じ速度で歩きたいんだ。
不器用でも不恰好でも。
だからお願い。
今日はもう少し時間を頂戴ね。
海が見えるあの場所まで 歩かせて。
あなたのお気に入りの場所まで歩かせて。
(よる子)