10.不器用

不器用

まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」
(彩月)

連作(十二首)
思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々
不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える
「ねえ私結婚しようと思うんだ」振り向かず聞く父の背中に
不器用な娘の結婚報告に前向いたまま「ああわかったよ」
不器用な親に似たのか我もまた嬉しい悲しい素直に出せず
不器用な我も仕事をするときはビシッと決めて背伸びしてみる
子どもらにちゃんと育ってほしくって「スカート!ボタン!上履き踏まない!」
「くそばばあ」言われる鬼担任の我まだ24歳なのになぁ
不器用に叱ってしまう本当は可愛い大切何より大事
初担任学級通信書くことが何より楽しみ不器用ながら
いま思う無理して叱ったこともある大事に思うこれ親心
初担任不器用に駆け抜けた日々子ども思春期我は青春
(彩月)


車いすから降りて
不器用に歩く私を笑う君。
座ればいいのに、というけれど
また君の横を
同じ速度で歩きたいんだ。
不器用でも不恰好でも。
だからお願い。
今日はもう少し時間を頂戴ね。
海が見えるあの場所まで 歩かせて。
あなたのお気に入りの場所まで歩かせて。
(よる子)

彩月とよる子の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうを探すふたりの旅路。 彩月(すずかぜ彩月) 短歌担当。絵本作家になるための一歩を踏み出したばかり。ペンネームはすずかぜ彩月。パステルとうさぎが大好き。自分を磨き、探究し続けている。 よる子 写真、詩担当。試行錯誤しながらHP作りをしている。難病持ち。寝たきりになる前にやることがたくさんあるのでいつも頭はフル回転。