38.家路

(彩月) 連作(首) (彩月) 少女は小高い丘から夜のヴェールがかかる街を見下ろす。オレンジ色に灯っていく家を数えていた。ひとつ、またひとつと。 誰かが帰る場所なのだ。そう思った刹那、また一つ灯る。滲む夕景。 暗くなれば…

33.粉砕

(彩月) 連作(首) (彩月) 砕けた、のでは無く砕いた。砕かなければ嘘で塗り固められた硝子の檻から逃げられなかった。逃げることは戦うことでもあると知った。砕いた硝子は身体に突き刺さったまま。それでも尚 空は以前より明瞭…