69.銀曜日

銀曜日

(彩月)

連作(首)

(彩月)


透き通った硝子の水槽の底の底。
見上げる青天井には無数の銀の星。

懐かしいあなたと二人、話をした。
銀曜日までの過ごし方。

銀星のあかりを頼りに眼を凝らし
不器用に作業を進める私と
見守るあなたの優しい瞳。
幼子のような煌めきと、清貧さを伴うゆかしさと
浮かぶ銀星を映しこむその瞳。

全てはあなたから私に託された
銀曜日までの大仕事。

何が何やら解らぬが、
いつかは解るかもしれぬから。

今年から続ける大仕事。
仰せの通り、銀曜日までに仕上げましょう。

銀曜日は毎年満月なのに、銀だなんて不思議ですねと
静寂より深い蒼落で、
あなたはやさしく微笑んだ。

あの子と話した銀曜日。
やっぱり何のことやら解らない。
されども今日こそが銀曜日。
わかることは、誰かに託された想いで何かを作らなければいけないということ。

銀曜日の終わり、
透き通った硝子の底の底から見上げた宵闇は、
相も変わらず青く蒼く、
そこに銀曜日のまんまるお月様は確かにのぞいていた。
不自由な私の手を包み込むように、
柔らかな月影は密かなるものを照らす。

これは、1年に一度、
不思議な銀曜日の不思議なおはなしです。
(よる子)

彩月とよる子の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうを探すふたりの旅路。 彩月(すずかぜ彩月) 短歌担当。絵本作家になるための一歩を踏み出したばかり。ペンネームはすずかぜ彩月。パステルとうさぎが大好き。自分を磨き、探究し続けている。 よる子 写真、詩担当。試行錯誤しながらHP作りをしている。難病持ち。寝たきりになる前にやることがたくさんあるのでいつも頭はフル回転。