(彩月)
連作(首)
(彩月)
小さな二人の世界で初めての
いってらっしゃい、いってきます。
行かせたくないよ、行きたくないよ。
ただいま、お待たせ。
おかえり、抱っこして。
おかえり、抱きしめさせて。
ただいま、離れたくない。
こんな毎日がずっと続く。
在り来たりな 何処にでもある
それでいてなんて愛おしい光景。
その世界には愛しか存在しない。
それは彼女たちの冒険譚。
初めて拾うものは己が涙か、互いの涙か。
いつかはそれこそも輝く宝石となる。
だから、桜よ。
まだ、暖かな色で彼女たちを柔らかく包んでよ。
儚く散っていかないで。
泣き虫の彼女たちの 大きい方は
きっと泣いてばかりだから。
泣き虫の彼女たちの 小さい方は
わからないことだらけで 大きな彼女を探すから。
二人のために咲いていて。
いってらっしゃいの薄明かりの中、
傍らにいてほしい。
(よる子)