71.彼女たちの冒険譚

彼女たちの冒険譚

(彩月)

連作(首)

(彩月)


小さな二人の世界で初めての
いってらっしゃい、いってきます。
行かせたくないよ、行きたくないよ。
ただいま、お待たせ。
おかえり、抱っこして。
おかえり、抱きしめさせて。
ただいま、離れたくない。

こんな毎日がずっと続く。
在り来たりな 何処にでもある
それでいてなんて愛おしい光景。
その世界には愛しか存在しない。

それは彼女たちの冒険譚。
初めて拾うものは己が涙か、互いの涙か。
いつかはそれこそも輝く宝石となる。

だから、桜よ。
まだ、暖かな色で彼女たちを柔らかく包んでよ。
儚く散っていかないで。
泣き虫の彼女たちの 大きい方は
きっと泣いてばかりだから。
泣き虫の彼女たちの 小さい方は
わからないことだらけで 大きな彼女を探すから。
二人のために咲いていて。
いってらっしゃいの薄明かりの中、
傍らにいてほしい。

(よる子)

彩月とよる子の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうを探すふたりの旅路。 彩月(すずかぜ彩月) 短歌担当。絵本作家になるための一歩を踏み出したばかり。ペンネームはすずかぜ彩月。パステルとうさぎが大好き。自分を磨き、探究し続けている。 よる子 写真、詩担当。試行錯誤しながらHP作りをしている。難病持ち。寝たきりになる前にやることがたくさんあるのでいつも頭はフル回転。