手を握り胸に抱かれ姿なき子どもが愛に溶けゆく夕べ
(彩月)
連作(首)
(彩月)
甘え方を知らない小さな君。
袖を引っ張る。
髪を引っ張る。
だっこして。
手を繋いで。
抱き上げて、
膝にのせて、
手を繋いで。
またいつでもおいで。
でも、今日はかえろう。
三人一緒に見た夕焼け。
さみしんぼうの君の瞳が滲む、滲む、滲む。
ごめんね。
でも、今日はみんな違う場所にかえろう。
輪郭のはっきりしない君のあたたかな手は、
空気に溶けていくように消えて
まるで何もなかったみたいに。
僕ら二人を遺して。
(よる子)