(彩月)
連作(首)
(彩月)
透き通った硝子の水槽の底の底。
見上げる青天井には無数の銀の星。
懐かしいあなたと二人、話をした。
銀曜日までの過ごし方。
銀星のあかりを頼りに眼を凝らし
不器用に作業を進める私と
見守るあなたの優しい瞳。
幼子のような煌めきと、清貧さを伴うゆかしさと
浮かぶ銀星を映しこむその瞳。
全てはあなたから私に託された
銀曜日までの大仕事。
何が何やら解らぬが、
いつかは解るかもしれぬから。
今年から続ける大仕事。
仰せの通り、銀曜日までに仕上げましょう。
銀曜日は毎年満月なのに、銀だなんて不思議ですねと
静寂より深い蒼落で、
あなたはやさしく微笑んだ。
あの子と話した銀曜日。
やっぱり何のことやら解らない。
されども今日こそが銀曜日。
わかることは、誰かに託された想いで何かを作らなければいけないということ。
銀曜日の終わり、
透き通った硝子の底の底から見上げた宵闇は、
相も変わらず青く蒼く、
そこに銀曜日のまんまるお月様は確かにのぞいていた。
不自由な私の手を包み込むように、
柔らかな月影は密かなるものを照らす。
これは、1年に一度、
不思議な銀曜日の不思議なおはなしです。
(よる子)