81.整列

とりどりの色みな違う意味を持つ出ず引っ込まず個性を生かせ(彩月) 連作(首) (彩月) 抱きとめた数えきれない色の粒今日は真っ直ぐに並べてみよう。ころころ きらきら転がる前に息を殺して切り撮るこの刹那。(よる子)

80.音

(彩月) 連作(首) (彩月) 突然溢れ落ちる 色鮮やかな音の粒を両手で受け止める。 一小節弾いて違う。一小節弾いてこれじゃない。 最初の休符で鼻から呼吸。ぽろん違うポロン違うぽろンそう、この音。 音の粒を繋げ…

79.寄り道

(彩月) 連作(首) (彩月) 出発はいつも少し早く。猫のジロウにおはようさん道端の花を見つけて膨らんだ蕾ににんまりし階段を踊るように駆けていく。 君に会えばあっちに行ったりこっちに行ったり。お茶の約束だったのに、ねぇ私…

78.あまいあまい

人生にちょいと疲れた人たちへ恋し優しき天の甘蜜(彩月) 連作(首) (彩月) あまいあまいまあるい味にかくれたほろ苦キャラメルさがして。あるきつかれたまひるの街角。ほっとひといきこころは空に。(よる子)

77.かえろう

手を握り胸に抱かれ姿なき子どもが愛に溶けゆく夕べ(彩月) 連作(首) (彩月) 甘え方を知らない小さな君。 袖を引っ張る。髪を引っ張る。だっこして。手を繋いで。 抱き上げて、膝にのせて、手を繋いで。 またいつでもおいで。…

76.文句いっぱいな彼女の物語の続き

目覚めての不満文句はお日様の優しさの中溶けて明日へと(彩月) 連作(三首)生きなくていい人なんて誰もいない文句不満も生(せい)あればこそありふれた生でもそこに物語不満文句にささやかな愛光見よ袖擦れ合えば人生の一部になりぬ…

75.距離

(彩月) 連作(首) (彩月) 海と君との距離。花と君との距離。私と君との距離。(よる子)

74.光を探す人

(彩月) 連作(首) (彩月) 生身の身体があるからこそ自由。 思考し、時何かを作り上げ、あなたの手を握る。されど、身体がある故に不自由。 差し当たってはのしかかる重力日々潰れていく骨 頭に巡らぬ血液 酸欠の魚のようにぱ…

73.散花讃歌

(彩月) 連作(首) (彩月) 散花をうらめしく見るのはやめた。讃歌にて見送る。さようなら、また来年。瞬間の美しさを、1日を見せてくれた花たちにこれから巡る季節に讃歌を贈ろう。来年こそ、また会おう。(よる子)

72.沈黙

(彩月) 連作(首) (彩月) 何処とも解らぬ深みにて貴方は再び沈黙す。それとも私が耳を塞いだか。彼は誰時。 正しきことを見る目を聞くまじきことを聞かぬ強さを与え給え。惑わされず踊らされず痛みを鋼の盾とし我が沈黙を矛とせ…