41.桃の節句

ふっくらと開き春風解き放つ桃の節句の慶び知らせ(彩月) 連作(十首)雛人形三世揃いし初節句すくすく伸びよ慶びの春ちりめんの飾り留まらぬ柔らかな髪愛おしくそっと撫で居り初節句きゃっきゃ笑って手をたたき袴ひきずりパタパタ這う…

40.手紙

(彩月) 連作(首) (彩月) 徒らに書いては机の片隅に積もる手紙の山。 書いて 書いて 書いて送りたかったのは一言だけだと気づく。 君に会いたい。(よる子)

38.家路

(彩月) 連作(首) (彩月) 少女は小高い丘から夜のヴェールがかかる街を見下ろす。オレンジ色に灯っていく家を数えていた。ひとつ、またひとつと。 誰かが帰る場所なのだ。そう思った刹那、また一つ灯る。滲む夕景。 暗くなれば…

33.粉砕

(彩月) 連作(首) (彩月) 砕けた、のでは無く砕いた。砕かなければ嘘で塗り固められた硝子の檻から逃げられなかった。逃げることは戦うことでもあると知った。砕いた硝子は身体に突き刺さったまま。それでも尚 空は以前より明瞭…