81.整列

とりどりの色みな違う意味を持つ出ず引っ込まず個性を生かせ(彩月) 連作(首) (彩月) 抱きとめた数えきれない色の粒今日は真っ直ぐに並べてみよう。ころころ きらきら転がる前に息を殺して切り撮るこの刹那。(よる子)

80.音

(彩月) 連作(首) (彩月) 突然溢れ落ちる 色鮮やかな音の粒を両手で受け止める。 一小節弾いて違う。一小節弾いてこれじゃない。 最初の休符で鼻から呼吸。ぽろん違うポロン違うぽろンそう、この音。 音の粒を繋げ…

77.かえろう

手を握り胸に抱かれ姿なき子どもが愛に溶けゆく夕べ(彩月) 連作(首) (彩月) 甘え方を知らない小さな君。 袖を引っ張る。髪を引っ張る。だっこして。手を繋いで。 抱き上げて、膝にのせて、手を繋いで。 またいつでもおいで。…

71.彼女たちの冒険譚

(彩月) 連作(首) (彩月) 小さな二人の世界で初めてのいってらっしゃい、いってきます。行かせたくないよ、行きたくないよ。ただいま、お待たせ。おかえり、抱っこして。おかえり、抱きしめさせて。ただいま、離れたくない。 こ…

33.粉砕

(彩月) 連作(首) (彩月) 砕けた、のでは無く砕いた。砕かなければ嘘で塗り固められた硝子の檻から逃げられなかった。逃げることは戦うことでもあると知った。砕いた硝子は身体に突き刺さったまま。それでも尚 空は以前より明瞭…

11.うさぎ

澄んだ眼に映る世界の鮮やかさ耳を広げて今跳ね行こう(彩月) 連作(四首)元気だとぴんと上がって落ち込むとしゅんと垂れ耳心の鏡バス待ちて草摘み駆けた我5歳「メガネうさぎ」と呼ばれし園児我の持つ教科書ノート筆箱に必ず描かれし…