17.萌ゆ
燦々と注がる恵み受けたいと先の先までぴんと伸ばして(彩月) 連作(四首)晴れ小路フクギ並木の小道ぬけ芽生え萌ゆあお家守るためがっしりと堅く組まれて幾星霜石に萌ゆる芽首里の城壁がじゅまるの幹複雑に絡み伸び幾重にも照る小さき…
燦々と注がる恵み受けたいと先の先までぴんと伸ばして(彩月) 連作(四首)晴れ小路フクギ並木の小道ぬけ芽生え萌ゆあお家守るためがっしりと堅く組まれて幾星霜石に萌ゆる芽首里の城壁がじゅまるの幹複雑に絡み伸び幾重にも照る小さき…
びっしりと張り巡らして水欲す誇り高く咲き続けるために(彩月) 連作(三首)子どもらと向き合う中で我に問う我の根っこはどこにあるのか選ぶべき道はどれかと悩むれば我の根っこに立ち返ればいい我の根は子らに光を見せること大丈夫だ…
あたたかな土の中にて息吹く芽がほっこり顔出しうんと伸びをす(彩月) 連作(五首)この星は大地と海が手を握り命を抱くまぁるい奇跡お目覚めは茶色いお布団いいにおい光を浴びて始まるいのちざわざわといのちの音が聞こえるか?眠り目…
凪いだ空懐かしふるさと胸の奥明日を見つめて朝陽を望む(彩月) 連作(四首)風吹けば我はふわりと飛ばされて親兄弟と別れし夕べふと浮かぶわがふるさとは何処(いずこ)へか思いかき消し明日のみを見るわたぼうし離れ離れになろうとも…
幾重にも広がるまる、まる、舞い降りて響け広がれ繋がれ歌え(彩月) 連作(三首)雨の日は土も柔らか水たまりそこは孤独な大地の痛み水たまり大地のへこみに注ぐ雨「ひとりで頑張らなくてもいいよ」溜まっても溢れることなく染み込んで…
冬の夜碧き銀河の懐に包まる我ら皆赤子なり(彩月) 連作(五首)生きててもいい?わたしこんなちっぽけで醜いこころのかたまりなのにすがるよう冬の夜空に手を伸ばす銀河が我のほお撫で降りる輝ける漆黒我は一粒の塵と溶けゆく銀河の果…
澄んだ眼に映る世界の鮮やかさ耳を広げて今跳ね行こう(彩月) 連作(四首)元気だとぴんと上がって落ち込むとしゅんと垂れ耳心の鏡バス待ちて草摘み駆けた我5歳「メガネうさぎ」と呼ばれし園児我の持つ教科書ノート筆箱に必ず描かれし…
まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」(彩月) 連作(十二首)思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える「ねえ私結婚しようと思…
苦しみや孤独を抱えているときも「大丈夫」という言葉寄り添う(彩月) 連作(九首)世の中は大丈夫なようできているどんなに今が底の底でも人生をまるっとみれば大抵は大丈夫という言葉にできる大丈夫という上質の絹の魔法に我は包まる…
美しき人が流したたくさんの涙乾いて天(あめ)の大河と(彩月) 連作(八首)凛として唇にはそう微笑みを頰すべり落つ涙ありても懸命に生きている証ひとまえで流せる涙もしのぶ涙も出会いの日別れの日にはいつだって涙がそっと寄り添っ…