71.彼女たちの冒険譚

(彩月) 連作(首) (彩月) 小さな二人の世界で初めてのいってらっしゃい、いってきます。行かせたくないよ、行きたくないよ。ただいま、お待たせ。おかえり、抱っこして。おかえり、抱きしめさせて。ただいま、離れたくない。 こ…

70.おはよう

(彩月) 連作(首) (彩月) あなたが私に最初にかけた一言は特別な言葉なんかではなかった。ただ、「おはよう」と。ただし、愛を込めて。朝靄の中、山脈の岩はあなたのおはように呼応するかのように光り輝く。(よる子)

69.銀曜日

(彩月) 連作(首) (彩月) 透き通った硝子の水槽の底の底。見上げる青天井には無数の銀の星。 懐かしいあなたと二人、話をした。銀曜日までの過ごし方。 銀星のあかりを頼りに眼を凝らし不器用に作業を進める私と見守るあなたの…

68.十字架

There are many handicapped people due to landmines or accidents in Cambodia.One Catholic priest designd this h…

67.天上の囁き

お日さまを纏うた野花は天使たち君を守りて「ひみつ」と笑う(彩月) 連作(首) (彩月) 私の花畑の正体が野原で道草している天使たちだったとは!風が吹くと一斉に笑い出す。私達は思いがけない場所に居るのだ、と。タネが弾けて秋…

66.夢見桜

(彩月) 連作(首) (彩月) 淡い空の色彩に溶けゆく季節の移ろいの中賑やかに集いし鳥たちに目を細め儚くも永遠に続くかのような春の夢。香りまであたたかくここは楽園かと錯覚する。(よる子)

65.束の間の静寂

(彩月) 連作(首) (彩月) 一筋の光が花を射る。辺りは騒がしいというのに、そこだけは静寂が生き物のように怪しく息を潜めている。 気づいてしまったからには時遅し。華やかさなどには無縁の孤高の花に魅入る。 目に見える束の…